主張

 

 

誰一人取り残さない社会をめざして
     -憲法9条と社会保障を考える-    2018年10月号掲載

7月20日に、厚労省は「17年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、ともに過去最高を更新した」と発表しました。
5年に1回公表される完全生命表によれば、1947年度は、男性が50.1歳、女性が54.0歳、1955年度は、男性が63.6歳、女性が67.8歳で、戦後8年間で13 ~ 14歳延びています。国民皆保険制度ができる前で、戦争が終わり経済復興前夜であることを考えると、平和であること、環境や食の状況が改善したことが主因だったのではないでしょうか。
WHO(世界保健機関)が08年に出した「健康の社会的決定要因に関する委員会」報告書によれば、生まれる前からの栄養状況、健康な場所でこそ人々は健康になる、公正な雇用と適切な労働、ライフコースを通じた社会保護、国民皆健康保険、すべての政策・システム・事業において健康の公平性を考慮するなどがあげられています。
12年のILO(国際労働機関)総会では、社会的保護(日本でいえば社会保障)が提起され、「適度の食糧、住宅、水、衛生、教育、健康のために十分な収入を得、文化的な生活に参加し、自由に自己表現ができ、考えや知識を共有できること」が重要な権利であるとされました。
12年12月の国連総会では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デーが制定され、「誰もが、どこでも、お金に困ることなく、必要な質のよい保健・医療サービスを受けられる状態を国際社会共通の目標とすること」が決議され、16年5月の「G7伊勢志摩首脳宣言」にも記載されました。
「誰一人取り残さないとの原則に基づき……保健システムを強化し,より強じん,費用負担可能,持続可能,かつ,公平なものとする。全ての個人の生涯を通じて健康を守り,改善するためのサービスの提供を必要とする」ことが、日本をはじめとする先進国で確認されているのです。
これらの決議にすべて賛成した日本国政府は、国際公約をいまこそ守るべきです。
憲法9条を守り、平和な国であってこそ健康が守れると思います。そして、社会保障(社会的保護)が国際社会の共通目標であることを、国民共通の合意とする運動を広げていく必要があります。


来年度予算策定に当たり社会保障の充実を強く望みます 2018年9月掲載

 7月10日に開かれた閣議で、「平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」という方針が閣議了解されました。基本的な方向性として「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)に示された「新経済・財政再生計画」に基づき取り込むことが記されています。
 社会保障に関連する分野として「年金・医療等に係る経費」については、前年度当初予算に高齢化等に伴う、自然増として6,000億円を加算した額、としていますが、一方で「これまでの改革等の効果を引き続き適切に見込む」ということで、実質削減する方針が明確になっています。
 各種審議会の議論によれば、「後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する」として、具体的には、後期高齢者の窓口負担を原則2割とする、かかりつけ医以外の外来を受診した場合の「受診時定額負担」制度を導入する、薬剤費の自己負担を引き上げるなどです。
 一方、義務的経費として、防衛関係費及び国家機関費は、そのままとすることになっています。
2018年度予算は、防衛費が5兆1911億円と過去最大となり、前年度当初予算と比べ1.3%増でした。来年度はさらに膨張し5兆3千億円に膨れ上がる可能性が指摘されています。
 第2次安倍政権後、米国の武器輸出制度である「対外有償軍事援助」(FMS)に基づく米国製武器の購入が急増。13年度の589億円から、18年度には4,102億円と7倍に拡大しています。
 また、在日米軍再編経費も、辺野古の米軍新基地建設費の積み増しで13年度の656億円から、18年度は2,161億円と約3.3倍に増加しています。
これらの軍事費の拡大は、あまりに高額すぎるため単年度予算では賄えないため、「後年度負担」として、将来へのつけ回しになることです。
これが「義務的経費」の一部となっています。
 「義務」というなら、日本国憲法25条に定めた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した社会保障を中心とした予算編成を行うべきではないでしょうか。


骨太方針2018にみる社会保障改悪の実態     2018年7月号掲載

 政府は6月15日の閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる「骨太方針2018」を決定しました。
 その内容は、多岐にわたりますが、今回は社会保障分野について触れます。
 骨太方針の基本は、「2019年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げを実現する」ということです。そして、従来消費税増税の使途として2%増税分(5兆円強の税収増)の5分の1で社会保障を充実するとしていましたが、これが変更され、教育・子育て・介護人材の確保等に使うとしています。
 具体的には、「所得のみならず資産の保有状況を適切に評価し……負担を求める」「後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する」「介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する」「医療・介護における『現役並み所得』の判断基準を……見直す」としています。
 4月25日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会の議論を中心にみると、以下のような具体化が検討されています。
 まず、高齢者は預貯金などの資産を持っている場合もあり、マイナンバーを利用して資産を把握し、負担増を図ることです。
 医療費負担では、75歳以上では原則1割の負担を見直し2割負担とする、かかりつけ医以外の外来を受診した場合の追加負担である「受診時定額負担」制度を導入する、薬剤費の自己負担を引き上げるなどです。
 介護の分野では、ケアマネジャーの作成するケアプランを有料化する、老人保健施設や介護療養病床の多床室の室料を無料から有料化にする、要介護1・2を地域支援事業に移行し介護保険サービスから外す、などです。
 後期高齢者の場合、夫に給与所得があり夫婦の年金収入を加えると、現役世帯の平均的な収入を超える場合があるため、「現役並み収入」の判定方法を変更し、医療や介護の自己負担を3割に引き上げることなども検討されています。
 いずれにしても、社会保障分野での大改悪といえるもので、反対運動を広げていく必要があります。


 

18改定で入院医療はどう変わるか     2018年4月掲載

18改定が実施されました。今回は、医科の入院医療について取り上げます。
 入院点数は、一般病棟入院基本料、療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料が、看護体制等による基本部分と、看護必要度等の「実績部分」を組み合わせた評価体系に再編・統合されました。
 一般病棟は、10対1看護配置を基本とし、重症度、医療・看護必要度、患者割合による7段階の報酬区分とする「急性期一般入院基本料」と、15対1看護配置を基本とし、看護配置や看護必要度の測定実績による3段階の報酬区分とする「地域一般入院基本料」が設定されます。
 療養病棟は、20対1配置が基本とされ、重症度の高い医療区分2・3の割合8割以上が入院料1、5割以上が入院料2となります。25対1配置は医療区分2・3の割合5割以上でも現行点数の10%減額とされ、5割未満なら現行点数の20%減額とされます。
 重症度が高く処置の多い患者を受け入れ、一定数の看護配置があれば、点数が高くなる仕組みになっています。
 一般病棟も療養病棟も看護必要度等の指標が評価の大きなウエイトを占め、「実績」を出すための運営が迫られます。
 「実績」や「結果」に結びつかないと判断された患者の選別が起こらないかが危惧され、このような評価体系の大幅な見直しは、拙速に行うべきではありません。
 回復期リハビリテーション病棟は、「アウトカム評価」をさらに推進、リハビリテーションの実績指数が組み入れられます。
 15対1看護配置の基本報酬は10点引き下げられ、実績指数、重症割合、回復割合、自宅等退院割合、看護や療法士配置によって6段階に細分化されます。
 地域包括ケア病棟入院料の基本報酬も、現行より20点引き下げられ、看護必要度、在宅復帰率、室面積、看護や療法士等配置によって4段階の報酬区分とされますが、アウトカム評価や在宅復帰率などの要件は患者の選別に繋がりかねません。
 こういった急速な改変は現場に混乱をもたらす可能性が高く、速やかな見直しを強く求めるものです。


 

18診療報酬改定の問題点をみる  2018年3月号掲載

 2月7日に開催された中医協で診療報酬改定案がまとめられ、厚労相に答申されました。
 今回の改定は、「本体」部分を0.55%引き上げる一方、「薬価・材料」を1.45%(薬価1.36%、材料価格0.09%)引き下げました。また、薬価制度の抜本改革で0.29%、大型門前薬局に対する評価の適正化を「別枠」で行い、全体として1.25%のマイナス改定となります。
 今回の改定の中心は、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」であり、医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進、生活習慣病の重症化予防の取り組みなどを重要な課題として掲げています。
 個別の課題では、複数医療機関からの訪問診療料の算定を可能にする、ターミナルケアの評価の充実など、一定の評価はできます。
 外来では、「かかりつけ」算定要件を一部緩和し、関連点数の算定を広げ、地域における患者の受入機能の強化をはかる仕組みが広げられました。地域包括診療料・加算等、在宅時医学総合管理料等届出等(在支診、在支病に限る)医療機関の初診料に「機能強化加算」を新設、一部の医療機関を評価する形にはなっていますが、地域医療を守る診療所全体の底上げになるものにはなっていません。
 ITを利用した「遠隔診療」では、「オンライン診療料、オンライン医学管理料」が新設されますが、緊急時対応等の医療安全、個人情報やプライバシー保護と問題は多く、保険診療への拙速な導入には疑問があります。
 入院では、10対1看護配置を基本評価とするため、医療現場に一層の混乱がもたらされるのではないかと危惧されます。
 歯科診療報酬本体は0.69%プラスに止まりました。歯科医療経営の厳しい現状を打開し、抜本的に改善するためには余りにも低すぎると言わざるを得ません。今回改定においても歯科衛生士や技工士の技術料が、正当に評価されておらず、委託歯科技工料問題は放置されたままです。
 医療費総枠の拡大と診療報酬の抜本的引き上げを、強く求めるものです。

 

 

保険で良い歯科医療実現のために       2017年12月号掲載


口腔の健康が、慢性疾患をはじめとする全身の健康に大きな影響を与えることが明らかになっている。子供の虫歯は減少傾向にあるが、歯周病など成人の口腔状態は様々な問題を抱えている。また、要介護者の増加に伴って高齢者の口腔の状態も深刻な状況であり、「オーラルフレイル」に関心が高まっている。それにも関わらず、国民の口腔の健康を担っている歯科医療機関の状態は、経営の厳しさにより歯科衛生士が雇えないところもあるなど過酷な状況に置かれている。こうした歯科医療の危機打開は、国民の健康、QOLの向上にとって放置できない緊急課題となっている。歯科医療機関の経営悪化の主たる要因は、歯科医師と歯科医療機関の数が増えているにもかかわらず、歯科医療費の総枠が変わらないことである。解決方法は以下の3点である。
①歯科医療費の総枠を拡大するために、歯科診療報酬を基礎的技術料中心に10%以上引き上げることである。とりわけ初再診料については、医科と同評価の点数とする。
②国民の口腔の状態からして、歯科医療の潜在的ニーズは高まっている。それにもかかわらず受診行動に結びつかない理由は、「時間がない」52%、「費用が心配」35%(2011年保団連調査)である。勤務時間中の受診の保障など、すべての国民が健診を含めて年一回は歯科医療機関を受診できる状況を作り出す。そのためにも、高校生以上の成人の歯科健診体制の充実、歯科医療界あげて国民に対する歯科医療の重要性の啓蒙・宣伝活動を強化する。
③患者負担の大幅な軽減を強く要求する。経済的負担を理由にした歯科受診抑制の解消は急務である。
歯科技工士の実態は、年収300万円以下が8割、過労死水準を超える週の労働時間60時間以上が6割など、深刻な状況である。歯科技工士の後継者育成のためにも、こうした実態の改善は急務である。歯科技工士の要求である7対3の大臣告示の徹底のために会内での周知と実効性ある委託技工の取引ルールの明確化を求めつつ、歯冠修復・欠損補綴、義歯の点数を歯科医師の管理に関わる技術料と、補綴物製作に関わる技工士の技術料と明確に区分けして設定するなど、制度的保障の議論を進めていく。
「保険で良い歯科医療」を求める運動は。2007年以降、総計143万筆以上の署名を集約してきた。こうした運動を反映して、2007年以降5回の改定はすべてわずかながら歯科診療報酬の引き上げを実現することができた。この運動を歯科医師だけでなく患者、国民の運動としてさらに広げるには、保険の適用範囲拡大の具体的要求を掲げることが求められている。小臼歯の前装鋳造冠だけでなく、学校健診で治療が必要と判定された矯正など具体的事項を不採算とならない導入、点数も含めて要求できるよう検討を進める必要がある。

 


 

『17予算に見る社会保障改悪』17年4月号掲載

高齢化に伴い、社会保障費は年間8千億円から1兆円増加します。この「自然増」を、政府は13年度から毎年5千億円程度に圧縮してきました。
17年度は、厚労省の概算要求時点で6400億円に圧縮、予算案では5000億円に圧縮しています。
まず、70歳以上の高額療養費の上限額の引き上げで、220億円の社会保障費の削減になります。
8月から「現役並み所得者(年収370万円以上)」について、69歳以下に合わせて外来医療費の月額負担上限が1万3200円引き上げられ5万7600円になります。住民税課税で年収370万円未満の場合は、外来医療費の月額負担上限が2000円引き上げられ、1万4000円になります。同様に、外来医療費と入院医療費を合算した負担上限も引き上げられ、これらを合わせると、1400万人に影響が及びます。
後期高齢者の保険料の「軽減特例」の縮小・廃止で、190億円の削減です。
後期高齢者保険の保険料は、制度発足前には被扶養者であった方や所得が低い方への軽減措置がありますが、これを「見直す」ものです。年金額が年153万円から211万円の方の場合、所得割部分が5割軽減から2割軽減になります。制度開始前に扶養家族だった方への定額割の9割軽減は7割軽減になります。
年金生活者の家計調査は赤字で、公的年金も削減されますから、とても「公平化」とは言えない、高齢者に負担を押し付けるものになっています。
65歳以上の医療療養病床の居住費(光熱水費)の引き上げで、20億円の削減になります。
居住費は1日320円の負担から370円に引き上げられ、1食460円の食費と合わせると月5万2500円になります。
介護保険の高額サービス費の上限額の引き上げによる削減10億円を加えると、患者・利用者の直接負担は、440億円になります。17年度の当初予算は約97.5兆円ですから、440億円は、わずか0.045%に過ぎません。
高齢者が増えれば、医療・介護の費用が増えるのは当然のことですから、こういった「自然増」の圧縮は、憲法25条に定めた国の責任を放棄することにほかなりません。速やかな撤回を求めるものです。


 

『社会保障改善の声を診察室からあげていきましょう』2017年2月号掲載 

2017年度予算案の内容が、徐々に明らかになってきました。この間、安倍政権は社会保障分野での国民への負担増と給付削減政策を進めてきました。
15年6月には「骨太方針」の閣議決定を行い、高齢化に伴う年間1兆円近い社会保障費の「自然増」を年平均5千億円に抑え込む「社会保障改革の工程表」を15年12月に策定しました。
これに加えて、12月号の主張でふれた年金額引き下げなどがあり、13年度から17年度の5年間で社会保障費の削減は3兆45百億円を超えます。
70歳以上の医療費窓口負担は、現行制度で既に1割から2割に順次引き上げられていますが、さらに負担上限額が引き上げられます。17年8月より、年収370万未満で住民税課税されている方は、1万2千円から1万4千円に(18年8月からは1万8千円)、370万円以上は4万4千円から5万7600円に引き上げられます。70歳以上の外来だけの窓口負担の上限も、縮小・一部廃止されます。
後期高齢者の保険料も、「所得割」の「軽減特例」(年金収入が153万~211万円)を17年4月からは現行の5割から2割に縮小、18年4月からは廃止されます。
療養病床に入院中の65歳以上の人の居住費を、1日320円から370円に引き上げます。長期入院であることを考えると影響は大です。
介護保険の利用料の上限を、「一般的な」所得の人(住民税課税世帯で年収383万円未満)の場合、17年8月より月3万72百円から、4万44百円に引き上げます。さらに、18年8月からは現役並み所得(一人暮らし、年収が340万円以上)なら、利用者負担が2割から3割に引き上げられます。
介護保険料も17年度からは、健保組合や協会けんぽなどの場合、加入者収入(報酬額)に応じた総報酬制に段階的に移行し、20年度からは全面的に導入するとされ、40歳から65歳までの方の保険料も引き上げられます。
医療・介護の改悪許すなの声を大きく上げていく必要があります。
注:国会で法案が成立しなければ実施されない内容も含まれています。


『社会保障改悪許すなの声を上げ、反対運動に力をいれましょう』2016年12月号掲載

12月17日に国会が閉会しました。この国会で、社会保障の改悪が次々と明らかになってきました。まず、年金引下げ法案です。
年金は、原則として物価や賃金の変動に合わせて改定します。今回の「改定」では、物価と年金のいずれか、又は両方が下がった場合はより低い方に合わせて年金を減額するというものです。今年度でいうと、物価は0.8%上がり、賃金は0.2%下がったので従来通りなら据え置きですが、今回の「改定」では、低い方に合わせてマイナス0.2%になり、引き下げになります。
医療保険では、高齢者がターゲットになります。後期高齢者の保険料は、これまで「特例措置」として軽減されていたものを「世代間の公平」の名のもとに引き上げられます。保険料は、所得に応じた部分と定額部分がありますが、定額分の軽減措置は、所得に応じた部分の保険料を徴収している人については段階的に廃止されます。また、所得に応じた部分の軽減幅を、17年4月からは現行の5割から2割に、18年4月からは廃止されます。年収211万円なら保険料は月4,090円から6,290円に1.53倍になります。
また、高額療養費(支払限度額)を17年8月より、年収370万未満で住民税課税されている方は、1万2千円から1万4千円に(18年8月からは1万8千円)、370万円以上は4万4千円から5万7600円に引き上げられます。
介護保険では、福祉用具貸与の原則自己負担化、要介護度1・2の介護保険外し、介護プランの有料化は、国民や介護事業者などの強い反対により今回は見送られます。
一方、現役並み所得者(単身者で年金収入のみで383万以上)の自己負担を2割から3割に引き上げる、一般区分所得(現役並み所得未満で住民税負担がある方)の自己負担上限額の引き上げ、福祉用具のレンタル料の上限を設定、40歳から64歳の保険料を総報酬制とする(大企業社員では値上げ)などが、含まれています。
保険料は引き上げ、自己負担も引き上げ、利用にも制限がかかる内容になっています。
社会保障改悪許すなの運動に力を入れていかなければいけません。
なお、今回の原稿は国会閉会時点での情報で書きました。閣議決定や法改正により変更があるかもしれませんのでご了承ください。


『 保険で良い歯科医療を 』  2016年10月号掲載

 超高齢化社会を迎え、「健康長寿社会の実現」には、口腔ケアの重要性、歯と全身の健康との密接な関係、医科歯科連携の推進などが注目されています。口腔機能の維持・増進が健康長寿にもたらす効果はまだまだ計り知れません。口腔が、食べる、話す、笑うといった生命と生活の源だからです。日本の歯科医療は、憲法25条「生存権」に基づき、「いつでも、どこでも、誰でも」安心して医療が受けられる国民皆保険制度の下で、保険診療を中心に国民の健康を支えてきました。
 それは、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士ら歯科医療従事者の努力の賜です。他方で、30年以上続く低医療費政策により「歯科医療危機」は打開されておらず、歯科医院経営はいっそう困難となり、歯科技工士の就職実態も悪化しています。
 従来、「歯の病気で死なない」ということが常識とされる時代でしたが、この「健康長寿の時代」では、まさに「高齢者は歯が命」といってよい時代となっています。医学の発展の中で、口腔の病気(口の中の汚れ、歯周炎などの病気)が肺炎、心臓病や血管の病気、糖尿病の引き金となったり、増悪させたりしていることがわかってきました。
 歯の喪失も健康に大きな影響を与えることが明らかになってきています。骨折の原因となる転倒事故が介護現場で大きな問題となっていますが、噛み合わせの崩れが体の平衡バランスに影響することも指摘されており、歯の喪失が転倒を起こす原因の一つと考えられています。
 保団連では、保険で良い歯科医療の実現を求める運動の推進として①自治体意見書採択運動②都道府県単位での連絡会の結成③歯科医療改革提言、「よりよく生きるは、よりよく食べる」、「入院・介護と口腔」パンフレットの普及と活用④「保険で良い歯科医療を」全国連絡会総会成功に向けた取り組み⑤イレバデーからイイハデーの取り組み⑥高齢者大会成功に向けた取り組み等を行っております。

 


患者負担増阻止をめざし、医療運動を推進しましょう

2016年9月号掲載

 参院選が終わりました。政府は、社会保障費の自然増分を3年間で1兆5000億円に抑え込むために、負担増・給付抑制を目的とする検討を始めました。
まず、「世代間の公平」の名のもとに、負担を引き上げようとしています。2年前の改悪で、70歳から74歳は2割負担に引き上げている最中ですが、75歳以上の窓口負担を2割に引き上げようとしています。また、70歳以上の医療保険の自己負担の限度額の引き上げも検討されています。
後期高齢者医療保険料の「特例軽減」が廃止されると、低所得者の保険料は2倍~10倍に急増します。介護保険の利用料も1割から2割に上げる計画です。
しかし、高齢化に伴い病気の種類は増えますから医療費が増加する一方、年金など収入は減少します。受診抑制を招き、疾病の重症化でかえって医療費は増える可能性があります。
 療養病床で導入されている入院時の居住費(光熱水費)を一般病床にも拡大、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担、なども検討されています。
 介護保険では、要支援1・2の介護保険外しに続いて、要介護1・2の生活援助を介護保険制度のサービスから外すというものです。生活援助とは、調理、洗濯、掃除等のことで、そもそも調理や洗濯などが自分でできないから「要介護」になっているのですから、介護保険制度の趣旨に反します。
 福祉用具の貸与や住宅改修を保険対象から外すことも検討されています。具体的には、車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・手すり・スロープ・歩行器などです。
自己負担割合が2割になる人の対象を拡大、高額介護サービス費の上限額の引き上げなども検討されています。
 保団連では、負担増計画の具体化を食い止めるため、参院選前から続けてきた「ストップ!患者負担増」署名に引き続き取り組みます。国会回次が変われば同趣旨の請願を再度提出できるため、これまで署名をしてもらった患者さんに、再度署名を訴えることが可能です。この秋は社会保障改悪を阻止する運動に力をいれましょう。



社会保障改善の声を一票に託しましょう――第24回参議院議員通常選挙にあたって 2016年 6月号掲載

第24回参議院議員選挙が、6月22日公示、7月10日投開票で行われます。当初予定されていた17年4月からの10%への消費税増税は延期、いろいろ噂されていた衆参ダブル選挙は行われません。
この選挙の争点は何でしょうか。
4月の診療報酬改定では、改定率は全体でマイナス1.44%ですが、本体部分はプラス0.49%、額にすると498億円でした。本来なら、薬価引き下げ分等を本体部分の引き上げに回せば、もう少し医療の改善に使えただけに、問題は大きいと思います。
さらに、昨年12月に政府財政諮問会議は「経済・財政アクション・プログラム」を策定、医療保険では、「かかりつけ医」以外の受診で窓口負担増、薬剤の保険給付費は後発品薬品価格までで先発医薬品との差額負担、75歳以上の窓口負担の2割化を提案しています。介護保険では、利用料を2倍に引き上げ、利用料の負担上限の引き上げ、「軽度者」の福祉用具貸与の保険外しなどを提案しています。
こういった社会保障に対する態度が問われると思います。
安倍政権は、社会保障の自然増について13年から3年間で総額1兆1500億円、年平均3800億円を削減してきました。消費税増税延期を口実にして、さらに社会保障予算を切り詰める可能性があると思います。
一方で、軍事費を4年連続拡大、当初予算で初めて5兆円を突破しています。こういった政治のありように対して、声を上げていく必要があるのではないでしょうか。
また、安全保障政策についても、大きな争点になります。集団的自衛権の容認、海外で戦争をする国づくりに道を開く平和安全法制の是非なども重大な問題です。
今回の選挙の最大の注目点は、32ある1人区で実質的に野党統一が行われ、文字通り与野党対決の構図となったことです。そのため、平和安全法制についてどう考えるか、社会保障費削減政策をどう見るか、といったことが重要な判断材料になります。
政治を変え、必要で十分な社会保障政策を進めるために、声をあげ、一票を投じたいと思います。


 

 

2016年改定の特徴をみる 2016年4月号 掲載

4月1日から診療報酬が改定されました。当初からマイナス改定とされ、本体部分がわずかにアップしたというものの、薬価等の引き下げ分を本体財源と分離したため、医療を改善するための財源は極めて不十分なものになりました。
診療報酬本体は、0.49%の増、薬価と材料費は1.33%の減、その他の「外枠」扱いとなった薬価等の減は0.6%でした。引き下げ分の合計で約2,000億円になりますから、これらを財源とした本体部分の引き上げを強く求めるものです。
改定内容の具体的な特徴としては、「地域包括ケアシステムの推進」と「医療機能分化・強化と連携」が特徴となっています。
急性期病床では、7対1看護体制の病床を減らすために、重症度、医療・看護必要度に項目を追加し対象患者を拡大した上で算定病棟の患者割合を引き上げました。また、在宅復帰率も引き上げたために、中小病院や内科系病院では7対1を維持するのが困難になりました。
外来の「かかりつけ医」を推進するために、「地域包括診療料・同診療加算」の要件を緩和、「認知症地域包括診療料・同診療加算」「小児かかりつけ医診療料」が新設されました。しかし、これらの制度は診療現場の実態にはそぐわない点も多く、問題点が残ります。
「アウトカム評価」と称して、診療報酬に「成果主義」が持ち込まれています。回復期リハビリテーション病棟には以前からありましたが、今回の改定では、摂食機能療法の経口摂取加算やニコチン依存症管理料に、成果主義といえる評価が組み入れられました。患者の病態には個別性があり、「結果」で診療報酬に差がつけるやりかたには問題があります。
診療情報提供料にに「検査・画像情報提供加算」「電子的診療情報評価料」が新設、お薬手帳の電子化も認められるようになりました。
「患者申出療養制度」が始まります。混合診療の拡大につながる危険性があり注視する必要があります。
今回改定は細かな点が多く、全体に触れるのは困難ですので、今後、社保のページなどで、取り上げていきます。


 16改定の特徴を見る
「地域包括ケア」を推進するマイナス改定   25016年2月3月合併号掲載

 第三二八回中央社会保険医療協議会総会が二月一〇日に開催され、診療報酬改定の概要が答申されました。
今次改定は、本体を〇・四九%引き上げ、薬価・材料を一・三三%引き下げるものですが、別途薬価再算定の引き下げを含めると、全体で一・三一%引き下げのマイナス改定です。さらに、後発品・入院食等で引き下げが行われます。地域包括ケアシステムの推進、一八年の診療報酬・介護報酬の同時改定を見据えたもので、医療機能の分化と強化、連携に重点が割かれています。
外来では、紹介状なしの大病院受診時の定額負担が導入され、初診時に五千円(歯科は三千円)、再診時は二・五千円(歯科は一・五千円)以上になります。かかりつけ医機能の評価として、地域包括診療料・加算で基準の緩和、認知症地域包括診療加算や小児かかりつけ医診療料が新設、かかりつけ歯科医機能の評価などが行われます。
ただ、基準についてはハードルが高いものもあり、実効性には疑問が残ります。また、湿布の処方枚数について、原則七〇枚の制限がつけられます。在宅医療では、患者の疾患・状態に応じた評価が導入され、重症患者については評価される一方、重症者以外の評価は不明です。また、患者の居住場所、支援診等の区別に、重症度等、訪問人数、在宅専門の有無等で、最大二百通り以上の算定区分が想定されます。
入院では、急性期における七対一入院基本料の要件の厳格化、十対一入院基本料でデータ提出加算の要件化などが実施されます。慢性期でも医療区分二・三の項目内容の厳格化、療養病棟入院基本料二での医療区分二・三の患者割合導入、障害者施設等入院基本料等での脳卒中患者(医療区分三除く)の報酬削減などが行われます。
歯科分野では、本体改定率〇・六一%のプラス改定となり、歯科界の声が反映された内容もありますが、抜本的改定には程遠い内容になっています。
歯科技工加算が僅かに引き上げられましたが、補綴関連の評価は依然として低いものになっています。その中でも、保団連の要求項目が反映した内容もあり、運動を続けることの重要性が示されたといえます。
今後、告示・通知が発出されないと評価できない内容も多く、今後の動きを注視する必要があります。



診療報酬を引き上げ16年改定をプラスにすることをもとめます            2015年12月号掲載


 中医協(中央社会保険医療協議会)は、16改定に向け週2回のペースで開催されています。12月9日には「診療報酬改定の基本方針」を明らかにし、12月11日には審議結果について厚労相に上申しました。
6月30日に閣議決定した「骨太方針2015」の中で、20年度に「財政健全化」目標を達成するため「歳出改革の重点分野」に位置付けた社会保障の削減の第一歩となる、マイナス改定の方針を明らかにしました。
 一方、多くの医療団体は、診療報酬のマイナス改定に反対しています。
11月19日には保団連などで構成される医療団体連絡会議は「診療報酬のプラス改定を求める緊急行動」を開催しました。11月27日に開催された日本臨床外科学会の「医療と消費税」をテーマとする討論会の最後に、学会長が「これ以上の医療費抑制政策はとるべきではない」と、提言しました。
 12月9日には日本医師会など医療・介護・福祉関係の40団体でつくる国民医療推進協議会が「国民医療を守るための総決起大会」を開催、「プラス改定」を求めています。
中医協の議論も、現行診療報酬の引下げが基調となっています。
 11月4日の中医協総会では、第20回医療経済実態調査の結果が示されました。今回は、平均値とともに最頻値が示され、平均値と最頻値の間に大きな開きがあることが明らかになりました。入院を含む一般診療所全体の医業収益の伸び率は、平均値で▲0.2%、最頻値では▲1.5%でした。
物品や薬剤の購入高の多い病院は消費税負担が大きい訳ですが、病床規模に関わらず赤字が継続しています。国公立や医療法人を含む一般病院全体の損益差額率は▲1.7%から▲3.1%に拡大しています。
 政府は、技術料などを0.49%引き上げる一方、薬の価格と医療器具の材料費を合わせて1.33%引き下げ、診療報酬は8年ぶりに引き下げられると報じられています。技術料があがれば医療機関の経営が改善する訳ではありません。診療報酬全体の引き上げがなければ経営は改善しません。
 16改定がプラス改定になるよう、現場の声をあげていく必要があります。


 

16年診療報酬改定の動向                            2015年11月号掲載

 来年4月に診療報酬が改定されます。安倍内閣は6月30日に決定した「骨太方針2015」の中で、20年度に「財政健全化」目標を達成するため、社会保障費の削減を「歳出改革の重点分野」に位置付けました。
財務省は10月30日の財政制度等審議会の分科会で、16年度予算の焦点の一つである診療報酬についてマイナス改定が必要との考えを示し、厚労省も16改定の基本方針の中で、マイナス改定を示唆する方針を掲げています。
中医協(中央社会保険医療協議会)の総会や専門部会などで基本的な論議が行われており、診療報酬の細かな内容はこれからになりますが、現在問題になっていることについて触れます。
 これまで、薬価引き下げ分を診療報酬本体に振り替え、改定の財源としてきました。今回は、「市場価格を反映した薬価改定」として振り替えを否定、「診療報酬マイナス改定」により、「医療費の伸びを抑制」するとしています。
 薬剤では、湿布を含む鎮痛消炎剤やビタミン剤、うがい薬などを、例外なく保険給付から除外することが検討されています。後発医薬品の薬価引き下げや、特許切れ先発医薬品の引下げを行う一方で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算を拡大することが検討されています。新薬創出加算の対象となる薬剤費は総薬剤費の3割にまで拡大しており、医療費を圧迫しています。
 「医療提供体制の適正化」として、7:1看護体制の要件を厳しくし事実上の「患者追い出し」に向かうのではないかという懸念があります。
紹介状なし大病院受診時の定額負担についても、一定規模以上の医療機関では徴収を義務づける、大病院の範囲や、定額負担を求めない患者・ケースについて、定額負担の金額などが議論されています。
 議論の詳細はこれから明らかになりますが、注意深く見守り、現場からの意見を上げていく必要があります。



保険で良い歯科医療の実現を                         2015年10月号掲載

 新聞、雑誌、テレビ、等で口腔ケアが高齢者の誤嚥性肺炎を減らすこと、歯科治療が日常生活能力運動機能の改善につながっていることなど、歯と全身の健康との深い関わりが相次いで報道され注目されています。それにもかかわらず、肝心の政府による歯科の低医療費制作はいっこうに改善されていません。長年の歯科の低医療費制作により、歯科医療現場が疲弊し、歯科医療供給側・患者側双方に、困難が生じています。
厚労省は、歯科医院経営の困難があっても保険診療だけでなく自費診療も含めて採算が取れるようにすればいいとする(トータルバランス論)低医療費制作を正当化してきました。
 しかし、政府には「いつでも、どこでも、お金の心配なく安心して」医療が受けられるよう、「国民皆保険」の理念の元に歯科医療の十分な医療の提供を保証する責任と義務があります。本格的な少子高齢化社会に対応するためにも、30年に渡る低医療費政策を改めて、歯科医療費の大幅な拡大が求められています。
歯の衛生週間が始まる6月4日に、保団連や全国連絡会などが国会内で取り組んだ「歯は命、6・4国会内集会」では、会場に溢れる428人が参加し、歯科医療の改善、診療報酬の大幅引き上げなどを強く訴える場となりました。
 保団連では、年末に向けた運動として、①歯科国会請願署名、②自治体意見書採択運動、③各県での連絡会づくりが提起されました。また、歯科署名の取り組みでは二年前に過去最高の34万6,000筆の署名を国会に提出しました。厚生労働委員会で審議未了となりましたが、歯科診療報酬の改善、保険給付の一部拡大等を勝ち取る一因になっています。全国連絡会では、医療関係者、患者・市民が協力し、11月末をめどに50万筆を目標に取り組んでおり、保団連も全力でその目標達成に向けて推進したいと考えています。
毎年保団連が命名した「入れ歯デー」の10月8日~11月8日「いい歯デー」までの1ヶ月間、全国各地で電話相談、入れ歯供養祭、街頭宣伝、市民シンポシ゛ウム、講演会など歯科医療を市民にアピールする多彩な全国キャンペーンを行っております。『保険でよい歯科医療の実現を求める』運動を、推進したいと考えております。
 歯科医療危機打開のために全国の歯科会員はもちろん、医科の会員の協力も得ながら運動を積極的に推進して頂くようお願いします。
折しも、この原稿を作成中、青天の霹靂とも言える日本歯科医師連盟の元会長、前会長、前副理事長が、政治資金規正法違反の疑いで逮捕されました。この現実を、厳粛に受け止めて、県民の信頼を回復すべく、全精力を傾注し、汚名返上名誉挽回となるよう、一刻も早い終息を祈ります。


 

安保法案に反対し、憲法に基づく 平和国家としての道を歩み続けよう  2015年9月号掲載

 安倍政権は九月十七日、参議院特別委員会において安保法案の強行採決を行なった。この間の衆参両院での国会質疑において、この法案は日本が米国の戦争に巻き込まれる戦争法案であることが明らかにされつつある。
集団的自衛権が必要であるとしてあげた、米艦で輸送する邦人の救出やホルムズ海峡の機雷掃海等については、政府の説明は二転三転し、存立危機事態は何を指すのかもはっきり説明が無い。また自衛隊統合幕僚監部の内部資料や統合幕僚長の米国への発言等、重大問題については、政府側の資料公開も、納得のいく答弁もなされていない。このような審議過程で国民の反対・疑惑が広がっており、国民の過半数が安保法案に反対、約七割が今国会での成立に反対している。こうした段階で、強行採決によって安保法案の成立を図るのは、民主主義の蹂躪であり独裁政治への道を拓くものであり許すことは出来ない。
 安保法案は違憲であり、憲法に従った改憲手続きを経ずに集団的自衛権を発動することは立憲主義の蹂躙である。このことは殆どの憲法学者、元法制局長官さらには山口元最高裁長官も指摘している。また、この法案により米国等同盟国が攻撃された場合、日本も軍事行動を起こすことが求められる。政府は後方支援と説明しているが、それは兵站活動に他ならず、あらゆる武器・弾薬等の輸送と給油活動を行うもので、武力行使と不可分一体である。統合幕僚監部の資料等からは、自衛隊が治安維持や駆けつけ警備も担うとされ、殺し殺されることが現実のものとなる。
 さらに日米新ガイドラインや統合幕僚監部の資料等からは、日米同盟の強化を名目にして、米国への隷属関係が深まっていくことが強く懸念される。以上のように安保法案が成立、実施されれば、日本が中東やアフリカ等に出動し、戦争する国になる。結果、軍事予算が拡大し、医療給付予算は抑えられ国民医療にも大きな悪影響を及ぼすことになるだろう。
 保団連は「開業医宣言」の本文の10平和の希求において、こう述べている。「人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない、私達は歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する。」
戦後70年維持してきた日本国憲法に基づく平和国家としての世界での信頼を守るためにも、今回の安保法案を認めることはできないと思う。
 現在、法案に反対し、安倍政権退陣も求める、学者・文化人・法律家を始め、幅広い国民の運動が怒涛のごとく広がっている。今回の運動の特徴は、学生・主婦など所謂一般市民が中心となっていることである。
私達も医療者として、保団連の一員として、そして国民として、これらの運動と合流して、日本が憲法9条に基づく平和国家で有り続けるように、できる限りの努力をつづけたいと考える。


 

8割の国民が説明不足とする「安保法制」の採決強行に声をあげましょう 2015年7月号掲載

安倍政権は、国民の8割が「説明が不十分」(共同通信・日経新聞・読売新聞など)とする中で、集団的自衛権行使を具体化するための平和安全法制2法案(平和安全法制整備法案、国際平和支援法案)を衆議院で採決可決し、参議院に審議の場が移りました。
国会で論議が進むたびに、法案に「反対」、安倍政権「不支持」の声が広がる状態になっています。参考人として招致された憲法学者はもちろん、憲法の番人とよばれる歴代法制局長官、最高裁の元判事も、違憲であると意見を述べました。憲法違反の法律を国会で決めることは本来できないのです。
政治を進めるのは政治家であるという主張もありますが、政治の暴走を止めるのが憲法であり、日本国家は「立憲主義」でなりたっています。政治をコントロールするのが「憲法」ですから、こういった「暴走」は許されるべきではありません。
この法案に対して、大多数の憲法学者や弁護士などの専門家だけでなく、多くの国民、とりわけ若い世代が反対運動を全国各地で行っているのが特徴です。
国会の審議の中で明らかになったのは、集団的自衛権の行使は、時の政権の判断でいくらでも拡大できることです。アメリカ軍だけでなくオーストラリア軍も含むものとされ、地球の裏側までも自衛隊を派遣できることが明らかとなりました。
この法案が通れば、戦後70年間「平和国家・日本」が世界に果たしてきた役割を投げ捨てることになります。殺し殺されることの無かった自衛隊が、海外で殺し殺される軍隊となります。人道支援にとりくむNGOやNPO関係者が、攻撃の対象となる可能性も格段に増えます。
第2次世界大戦で、310万人の日本人の命が失われ、2,000万人を超えるアジアの人々の命が失われました。その痛恨の教訓から生まれたのが「憲法9条」です。憲法9条を「解釈」により、ないがしろにするべきではありません。いのちを大事にする医師として、声をあげていくべきではないでしょうか。


 

一斉地方選挙の結果と今後の課題   2015年5月号掲載

 今回の一斉地方選挙の結果は、日本共産党の議席増、自民・公明両党の現状維持、民主党の後退というものであった。参議院選挙、総選挙に引き続く日本共産党の前進により、自公政治への反発が、国民の中で徐々に広がっていることがわかる。しかし自公政権は、国民の安定支持を受けたとして「安保法制」制定や、社会保障の削減へと、強権政治を一層進めている。
憲法九条を蹂躅する集団的自衛権の具体化である「国際平和支援法」等の「安保法制」、いわゆる[戦争立法]は5月中旬に国会へ提出される。この法律が実施されれば、日本は米国主導の戦争に、武力行使を含めて、世界中のどこへでも、いつでも切れ目なく協力実行することになる。まさに「戦争する国」へ突き進むことになるであろう。
さらに、4月末渡米した安倍首相は、国民への説明が全く無く、国会への提出すらされていない段階でアメリカに対し、日米ガイドラインの改定と、8月までには上記「安保法制」を成立させることを約束し、米国議会で宣言まで行った。これ程の国民無視は、アメリカへの従属の極みであり、到底許されるものでは無い。
一方で、自公政権は、医療保険制度改悪法を5月にも成立を期している。これが実施されれば、医療費の患者負担増、国保の都道府県への移行による国保料の値上げ等が起こり、まともな医療を受けられない国民が著しく増大する。また、TPP協定の締結と相まって、医療格差も増大させる。このような中、憲法九条を守る闘いや、医療保険制度を含む社会保陣改善の運動も大きく展開されている。私達保険医協会も、その一翼を担うことが重要である。
平和であり、社会保障が充実してこそ国民の健康を守ることが出来る。我々の一層の努力が求められている。


 

医療保険制度改革法案は廃案へ 待合室からキャンペーンを  2015年2月号掲載

厚生労働省は、1月26日召集の通常国会に、「『自然増』も含めて聖域なく見直し、徹底的に効率化・適正化していく」という「骨太方針2014」に沿った、給付減・負担増計画の医療保険制度改革法案を提出しました。
まず、「負担の公平化」の名の下に負担増を求めるものでは、以下のものがあります。
①入院と在宅療養の負担の公平化の名目で、入院時食事療養費を食材費相当額に調理費相当額を加え、16年度から1食360円、18年度から1食460円に引き上げ、1ヵ月入院すると4万円を超えることになります。
②外来の機能分化を進める観点から、16年度からは紹介状なしで特定機能病院及び500床以上の病院を受診する場合等には、保険診療の自己負担とは別に、5000円~1万円の負担が必要になります。
③後期高齢者の保険料軽減特例について、段階的に縮小します。これは、後期高齢者保険が個人加入のため、74歳まで子供等の扶養家族になっていた方が保険料を支払うようになった場合等に対する特例措置でしたが、今年度は865万人が対象となっており、介護保険料引き上げとともに低所得者にとって大変な負担になります。
「患者申出療養(仮称)」制度を創設、未承認薬等の使用を患者の申出により保険外併用療養とするもので、医療の安全性に対する国の責任を放棄、問題が起きた時には患者と医師の責任にするものです。また、事実上の混合診療となる訳で、絶対に認めるわけにはいきません。
2018年度から国民健康保険の運営を市町村単位から都道府県単位に変更します。これまでのように保険料を軽減するために一般財源を投入することができなくなり、保険料が大幅アップすると思われます。
医療費の適正計画の見直しで、医療費の水準や入院ベッドが都道府県の裁量の下にコントロールされます。また、特定健診・保健指導実施率、平均在院日数等の見直しや後発医薬品の使用割合も都道府県が定めるようになります。
保険料や自己負担増に道をひらく、医療保険制度改悪には反対です。待合室から、反対の声を上げていきましょう。


 

 

総選挙の結果を受け、社会保障改悪許すな声を上げ続けましょう   2014年12月掲載

 第47回衆議院選挙は12月14日に投票が行われ、自民党は3議席減らしたものの、自公両党合わせて、法案の再可決や憲法改正の発議に必要な、全議席の3分の2を上回る325議席を獲得して議席数の上では圧勝しました。野党では民主党が11議席増、日本共産党が3倍近く議席を増やし21議席へと躍進しました。
総選挙を控え審議が事実上ストップしていた、社会保障制度改革プログラム法や医療介護総合法案の内容の具体化が急ピッチで進むものと思われます。
 すでに実施されているものでは、年金収入が280万円以上の70歳から74歳の方の医療費負担が、14年4月から段階的に1割から2割に引き上げられています。
15年1月からは高額療養費制度が変更となり、月額の医療費が100万円の場合、年収が約770万円以上で約17万2千円、1,160万円を超えると約25万4千円になります。所得が多ければやむを得ないのではないかと考えがちですが、食事療養費が1日1,380円に増やされることが予定されていますから、これらを合計すると3割負担を超えることになります。
 現在検討されている内容では、紹介状を持たない患者が大病院を受診した時、病院が任意に設定する「選定療養」制度から定額自己負担制度になり8,000円前後とされます。
また、事実上の混合診療と言われる「患者申出療養」制度の導入も予定されています。
介護保険では、要支援と認定された場合、訪問介護(ホームヘルパー)と通所介護(デイサービス)は介護保険から外され、市町村が行う地域支援事業となり、上限が設定されることになります。
特別養護老人ホームへの新規入所は、原則要介護3以上になります。また、年金収入280万円以上の場合、介護保険の利用者負担が2割になります。また、一定の預貯金がある場合、施設での居住費・食費が自己負担になります。
 こういった改悪が予定されています。抗議の声をあげなければ、そのまま実施されます。前期高齢者の医療費負担が、一時的にせよ国民的な運動で、本則2割だが予算措置で1割に抑えられた経過もあります。
社会保障改悪許すな声をあげ続ける必要があります。


 【窓口負担の大幅軽減を求める署名」をすすめ、負担増反対の声を上げていきましょう
                                      2014年11月掲載

 第82回社会保障審議会医療保険部会が10月15日に、「医療保険制度改革について」を議題として開催されました。主な内容は、「療養の範囲の適正化・負担の公平の確保について」と「医療費適正化について」です。
まず、紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担が問題になっています。200床以上の病院に紹介状を持たずに受診した場合、選定療養制度があり、1,191施設の調査で、初診料について45%の病院が徴収、最高8,400円、最低105円、平均2,130円です。
 厚労省研究事業の「病院外来受診時の一定定額自己負担制度導入に関する調査研究」によれば、200床以上の病院を受診する場合の定額負担について5,000円以上に設定すれば、軽症の場合は受診せず、重症の場合は受診すると考えられるとしています。そこで、5,000円を軸に検討が進められています。
入院時食事療養費について、入院医療と在宅療養との公平、及び若年層と高齢者層との公平を図る観点から、入院時食事療養費・生活療養費を見直すこととされており、一般所得者の食費(1日当たり)780円を1,380円へ倍近く引き上げる案を軸に検討されています。
 しかし、病院に支払われる報酬(食事療養費Ⅰ)は1日当たり1,920円ですから、患者負担が1,380円に引き上げられると約72%の負担率になります。この患者負担は高額療養費の対象とはなりませんから、まるまる自己負担ということになります。
 これら以外にも、70歳以上の外来の高額療養費の対象の大幅引き上げや、75歳以上の患者負担を現行の1割から2割に引き上げる、事実上の混合診療導入になりかねない「患者申出療養」制度の導入など、国民皆保険制度を根幹から揺るがす内容が多く含まれています。
12月総選挙の動きがでたため、医療保険部会の開催が中断しています(11月16日現在)が、これらの内容は、時期はともかく、次の総選挙の争点になります。
「新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求める署名」をすすめるなど、負担増反対の声を上げていく必要があります。


 

「保険で良い歯科医療を」                            2014年10月掲載

 1992年、NHKの特番「噛めない、話せない、笑えない入れ歯のハナシ」がきっかけとなり、「保険で良い入れ歯を」運動が始まり10月8日を保団連が「入れ歯デー」と命名しました。
同運動の教訓は、低診療報酬が医療の質を低下させる、と言うことについての歯科医療従事者の悩みや苦しみを患者・国民が理解し、共に診療報酬改善に取り組んだことにあります。
しかしこの貴重な経験は、十分に生かされませんでした。
 今年4月の歯科診療報酬改定は、一部歯科医療現場の声が反映された反面、消費税増税に伴う補填分を除くとわずか、0.12%の引き上げに留まり、長期にわたって据え置かれています。基本的技術料の抜本的引き上げは今回も見送られ、歯科医療の危機的状況を改善するものとはなっていません。この状況を食い止めるには、10%以上の大幅引き上げが必要です。
 歯科医療機関の経営は、多年に渡って困難を極めています。一方、患者、国民は不況が続く中、経済的格差が広がり、相次ぐ患者窓口負担増により経済的理由で歯科受診を控える患者が増加しています。
 こうした閉塞状況を打ち破るべく、2007年「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は10月8日(イレバデー)から11月8日(イイハデー)までの1ヶ月間、全国各地で歯と健康について考える多彩な企画、取り組みが実施されています。8回目を迎えた今年も「歯科電話相談」「入れ歯供養祭」「義歯ネーム入れ」「市民アンケート」「署名活動」「口腔の健康や食についての講演会・市民講座」等旺盛に取り組まれています。
 次期、診療報酬改定を見通して、いつでもどこでも誰でも、お金の心配がない「保険で良い歯科医療」の実現と歯科医療の危機打開のためには、歯科技工士、歯科衛生士との連携を強め、患者負担の大幅軽減とともに診療報酬の引き上げと改善を目指して共に頑張りましょう。

 


 

新知事に望む                                   2014年9月号掲載

 8月31日投票で行われた香川県知事選で、現職の浜田恵造候補が再選を果たしました。今後4年間の香川県政のかじ取り役に、何が求められているのかを考えてみました。
選挙直前に、時事通信社と四国新聞社が「合同世論調査2014」を実施しました。四国新聞8月14日付記事によると、県民の要望は以下の通りです。
 優先してほしい事業は、「経済対策」(29.2%)と「少子高齢化対策」(28.0%)、「教育」(18.4%)、「安全・安心対策」(16.5%)、「文化振興」(4.8%)。
経済対策がトップをしめるのは、やはり消費税増税の影響だと思います。8月13日に内閣府が公表した、4月から6月期の実質GDP(国内総生産)は年率に換算して6.8%の大幅減となりました。地方自治体の施策で、直接経済を立て直すのは困難だとしても、こういう状況下で消費税を10%に上げるべきではないと、はっきり意見を述べてほしいと思います。
 少子化対策では、安心して子育てができる制度が大事です。協会が以前から要望している、県の制度としての医療費無料化が必要です。市町段階では、高松市などを除き制度ができてきましたが、他市町の医療機関に受診した時に立て替え払いとなるところも多く、医療機関の側も患者の住居地の制度を確認しながら自己負担額を請求するという煩雑さがあり、県としての無料化制度を望むところです。
 高齢者対策では、医療介護総合法に基づく制度変更への対応です。病院の役割を定める新たな医療計画の策定が始まります。入院を必要とする患者が安心して入院できる体制づくりが必要です。
17年度から国保が都道府県単位に移行します。そのため、市町によっては細やかな補助制度を行ってきた自治体がありますが、それが事実上廃止されます。国保料も県下一律の額になってきます。国保財政の弱い自治体を支えてきた保険財政共同安定化事業の対象がすべての医療費に拡大され、15年度から事実上の広域化が始まります。払える保険料額にするための施策が求められます。
 都道府県別の医療費支出目標が定められ、安心して医療を受けられるのか、という問題が出てきます。 公約に掲げた「切れ目ない安心医療」を実現する、県民本位の県政を望むものです。


 

すべての原発を廃炉にし、原発に依存しないエネルギー政策への転換を求めます     2014年7月号掲載

原子力規制委員会は7月16日、九州電力川内原発1・2号機(鹿児島県薩摩川内市)の安全対策が、新たな規制基準に適合しているとする「審査書案」を決定しました。事実上の審査合格で、秋以降に再稼働する可能性があります。
田中俊一委員長は、「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない」と述べました。東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、国による安全性の担保を目的として原子力規制委員会が審査をしてきたはずです。田中委員長の発言は、「基準の審査はしたが、安全性の審査はしていない」ということを意味します。
安倍首相はこれまで「世界で最も厳しい安全基準にのっとって、原子力規制委員会がしっかりと審査する」と、安全性の審査であることを強調していました。今回の決定を受け、「一歩前進ということだろう。安全だと結論が出れば、地元への理解をいただきながら、再稼働を進めていきたい」と述べました。
しかし、川内原発周辺には桜島のある姶良カルデラを始め5つのカルデラがあり、火山噴火予知連の藤井会長は「川内原発に影響を与える噴火を予知することは無理」と述べています。
避難計画について、米国では米原子力規制委員会(NRC)の認可がなければ原発の運転はできませんが、伊藤鹿児島県知事は避難計画について、「10km(圏内)で十分、30kmは現実的でなく不可能」と断言し、10~30km圏の要援護者の避難計画の策定の見通しはありません。
菅官房長官は「原発が稼働していないことによって、4兆円近い国富が毎年海外に流れている」と述べましたが、5月21日の大飯原発運転差止請求事件判決は、「原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と明快に述べました。
「すべての原発を廃炉にし、原発に依存しないエネルギー政策に転換すること」(総会決議)を求めるものです。


 

医療・介護総合法案」の採決強行に抗議し、参院での徹底審議のうえ廃案にすることを求めます
                                          2014年5月号掲載

 2月12日に、政府は「医療・介護推進法案」(「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(案)」)を国会に提出しました。
 その内容は多岐にわたり、医療・介護のみならず、社会保障全体を大本から変える内容で19本の法律からなります。本来なら一つ一つ別の法案として十分な時間を取って審議すべきですが、衆議院で採決を強行しました。強く抗議するものです。
 診療報酬改定で、各種病床での在宅への復帰率を導入、平均在院日数の厳格化など、入院から在宅への流れを強化し、7対1病床を9万床削減しようとしています。
 「医療・介護推進法案」では、医療機関の申告により高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能に区分します。都道府県は4機能ごとの「必要量」を示した「地域医療構想」を2次医療圏ごとに作成し「医療計画」に盛り込み、医療機関名の公表、融資・補助金の不交付など「構想」に従うよう働きかけていきます。新設の「基金」を用意するなどの仕組みもあります。
 入院を制限するために、入院給食の原則自己負担も検討されています。入院給食の費用は高額医療の対象とはならないため、低所得者を直撃します。
 介護の分野でも、特別養護老人ホームを「中重度の要介護者を支える」施設とし、要介護3以上に入所者を限定するとしています。要介護1・2の場合は、「特養以外での生活が著しく困難な場合」に限り認める方針とされます。
 要支援者の予防給付について、訪問・通所介護を、ボランティアなどを活用した市町村の独自事業に移していくため、保険料あって保険サービスなしという状態になりかねません。また、認知症に対しても、軽度のうちに十分な支援を行うことができなくなります。
 介護の利用料も低所得者でも2割負担になる、難病患者の自己負担も増加するなど社会保障そのものを破壊する内容になっています。
 医療・介護を始めとする社会保障を破壊する、「医療・介護推進法案」の速やかな廃案を求めるものです。


 

医療現場に混乱をもたらす今次診療報酬改定に抗議し、再改定を求めます        2014年4月号掲載

 4月からの診療報酬改定は、社会保障と税の一体改革、社会保障制度改革国民会議報告書(「報告書」)などの内容を反映したものになっています。
 まず、7:1病床を削減するために、看護必要度を医療・看護必要度に変更し、対象患者の限定を行いました。また、90日を超えて入院している患者の扱いを変更し長期入院を抑制、自宅等への復帰率75%以上を要件とするなどとしました。
さらに、自宅等に含まれる、療養病棟は在宅復帰機能加算に限る、介護老人保健施設も在宅強化型のものか、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の届出を行っていることが必要で、何が何でも在宅へという流れを作りました。
 「報告書」では、「医療の機能分化を進めるとともに急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」するとしましたが、「機能分化」という以上、医療機関の提供する医療内容が問題にされるべきですが、今回の改定は、とにかく自宅等に帰ることが条件になっており、「機能分化」とはいえません。
 在宅医療でも問題のある改定が行われました。訪問診療料が、同一建物居住者の場合、特定施設入居者が203点に、特定施設入居者以外の場合が103点に引き下げられました。診療所に6歳以上の患者が受診した場合、再診料に外来管理加算を加えると124点です。これでは、在宅医療を続けることが困難になります。
 また、在宅時医学総合管理料や、特定施設入居時等医学総合管理料の点数も、同一建物居住者の場合は引き下げが行われました。いずれの管理料も患者一人一人に異なる内容がある訳で、同一日に複数患者を診たからといって、引下げる理由はありません。
全国有料老人ホーム協会などの調査では、施設に訪問診療する医療機関のうち13%が、廃院する、訪問診療を全部か一部やめると回答しています(4月11日「四国」)。いわゆる「患者紹介ビジネス」に端を発した問題ですが、高齢者住宅を等を建設した事業者には何のペナルティーもなく、医療機関だけに責任を押し付ける改定には納得できません。


 

「一体改革路線」で安上がりの医療を狙う診療報酬改定               2014年3月号掲載

4月から診療報酬と介護報酬が改定されます。介護報酬改定は、消費税増税に伴うものですが、診療報酬は2年に1回の改定に、消費税増税に対応した内容が含まれています。
2月12日の中医協総会で概要が明らかになりました。0.1%のプラス改定とされますが、消費税増税に伴う補填分を除くと、マイナス1.26%で再びマイナス改定に戻ったことになります。
今回の改定は、税と社会保障の一体改革に基づく内容が中心です。
入院医療では、病院完結から地域完結への転換を促進するため、①7対1入院基本料の要件厳格化(在宅復帰率とデータ提出加算の要件化、看護必要度の要件強化など)により7対1病床を9万床削減、②難病や重度肢体不自由者等の入院医療確保のための、平均在院日数適用除外廃止などが含まれます。
これらが実施されれば、入院困難となる患者が増加し、十分な医療が必要となる重症患者を在宅などで対応せざるを得なくなります。
外来医療では、「機能分化の更なる推進」をはかるとして「主治医機能」を持つ中小病院や診療所の医師が、高血圧症・糖尿病・脂質異常症・認知症のうち2つ以上を診療する場合に「地域包括診療料」が新設されました。かかっている医療機関をすべて把握、すべての処方医薬品を把握する、お薬手帳のコピーをカルテに貼付、診療所では原則院内処方などが要件とされています。
社会保障改革プログラム法で「外来受診の適正化」として掲げられた、医療費適正化方針の具体化であり、現在では廃止されている「後期高齢者診療料」と同様に、「ゲートキーパー」としての役割を要求するものです。
維持期のリハビリテーションについては、介護保険への移行が2015年度末までの期限付きで延期されましたが、脳血管リハの算定要件に、介護保険の通所リハ等の実施実績がない医療機関が算定する場合は減算されるなどのペナルティーが導入されています。
字数の都合で、詳細には触れることができませんが、問題の多い改定であり、再検討を要求するものです。



厚生労働省の社会保障「プログラム法案」で国民の健康を守り、医療機関の経営が守られるのか?
                                     2013年12月25日号掲載

今回のプログラム法案は、持続可能な社会保障制度の確立を図るため改革推進に関する法律案のようですが、社会保障は、「自助、共助、公助の適切な組み合わせ」という論理を放棄して、国は自助、共助のみを強調し、社会保険は自助を共同化した仕組みの法案化です。
基本には団塊世代が75歳以上となる2025年に照準を当てた給付抑制と負担増を打ち出すものです。
政府は、消費税増税をすべて社会保障に当てるというが、まったくのごまかしで、社会保障の中心は自助であるとの考えです。
プログラム法案で医療は、70~74歳の窓口負担、1割から2割へ引き上げ、国保を都道府県単位に再編し、国料、入院時の食事代負担の引き上げ、紹介状なしの大病院受診に定額負担導入、一定以上の所得者の保険料、高額療養費負担限度額引き上げ、地域医療ビジョンを策定し、急性期の病床削減、看護師、歯科衛生士など医療職
種の業務範囲と実施体制の見直しなどで国民は医療にかかりにくくなり、医療機関も患者減少などで経営が圧迫されます。
介護は、要支援者を介護保険の給付対象からはずし、市町村の施策に移管、一定以上の所得者の利用料を2割に引き上げ、特別養護老人ホームの補足給付支給要件に資産を追加、入所を要介護3以上に制限されます。格差社会のなかで家庭・家族の崩壊につながります。
年金は10月より段階的に年金額を2.5%削減、物価、賃金上昇以下に押さえ込む「マクロ経済スライド」の実施、65歳に引き上げた年金支給開始をさらに引き上げようとしており年金で生活している国民はますます貧困に陥ります。
生活保護は、8月より母子家庭などの支給額を670億円削減、生活保護法の改悪により申請拒否の「水際作戦」を制度化、就労支援口実に申請を却下すなど憲法違反、人権無視が行われようとしています。
このような危険なプログラム法案を成立させないよう運動をしていきましょう。

 

 

 

 

2013年

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